いわゆる、あな痔です。下痢などにより肛門の周囲が細菌に感染して炎症を起こし、肛門の周囲に膿(うみ)の溜まる肛門(こうもん)周囲(しゅうい)膿瘍(のうよう)という病気があります。これは痔ろうの前段階で、ここで適切に治療をすれば痔ろうにならないこともありますが、進行すると膿を出すトンネル(ろう管・ろう孔)が出来ます。これが痔ろう(あな痔)です。 症状としては発熱と肛門周囲の痛みがあります。痔ろうの治療は薬剤では無理で、手術を行います。また痔ろうは治療せずにそのままにしておくと、肛門上部に炎症が広がり、複雑で大きな痔ろうになっていきますし、肛門がんに進むことがあります。 ・痔ろうの分類 痔ろうにはできる場所や深さによっていくつかのタイプがあります。日本の隅(すみ)越(こし)先生はそれらをもとに、痔ろうを1型から4型に分類されました。この分類は痔ろうの隅越分類として、進行度によるパークス分類とともに臨床の場で広く用いられています。 以下にざっくりと、隅越先生の分類を説明します。 痔ろうの隅越分類 1型はろう孔が粘膜下・皮下を通るもの 2型はろう孔が内肛門括約筋の間を通るもの 3型はろう孔が外肛門科括約筋を通り越して坐骨直腸窩に入るもの 4型はろう孔が肛門挙筋の上にまで及ぶもの このうち3型の坐骨直腸窩痔ろうは発症初期には高熱が出て、排便時あるいは、肛門診察の際に直腸内に指を入れただけでも激痛があります。しかし、肛門周囲の皮膚はまったく正常であるケースもあり、このような場合は発見が遅れることが考えられるので注意が必要です。 また、昔は痔ろうと結核(特に腸結核)が関係あるといわれていましたが、現剤では結核の患者さんが減少しており、関係ないと考えてよいと思います。現在では痔ろうはクローン病や潰瘍性大腸炎などの難治性の大腸疾患と関係の方が重要です。痔ろうの診察、治療中にクローン病などが発見されることもあります。
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