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代表的な漢方医学的診断法である。「証」について説明

更新日:2021年12月6日

代表的な漢方医学的診断法である。「証」について説明します。 からだにあらわれた症状から、体内で起こっている状態を推理して、抽象化することを「証を立てる」といいます。「証」に関しては諸説があります。ですから、同じ患者さんを複数の医者が診察した場合、違う「証」が立つこともあります。また、中国医学よりも漢方医学の方が「証」を重視する傾向があります。  そして「証」には陰陽、虚実、主客などいくつかの分類がありますが、ここでは「証」の虚実をもとにした薬剤選択について説明しますので、「虚証(きょしょう)」「中間証(ちゅうかんしょう)」「実証(じっしょう)」についてのみ、簡単に説明します。 「虚証」とは、患者にとって必要な物質や活動が不足した状態で「実証」とは患者にとって不必要な物質や活動が過剰になった状態をいいます。ここでいう物質や活動とは津・気・血の量および活動のことをさします。「中間証」とはそれらのどちらともいえない、中間の状態のことです。 不安神経症 不安神経症とは過剰な不安・心配により自律神経系の過活動・運動性緊張・刺激過敏・易疲労感・集中困難・不眠など多彩な症状が動揺しながら持続することで日常生活に支障が生じるものです。 虚証から中間証ではベンゾジアゼピン系薬剤を使用し、実証ではチェノジアゼピン系薬剤を使用すると効果的であるとされています。 便秘 便秘とは大便が長期にわたり腸内にとどまり、便中の水分が減少し固くなるので、排便困難や腹部膨満感などの症状を呈するものです。 虚証から中間証では大腸刺激性下剤を使用し、実証では塩類下剤(緩下剤)を使用すると効果的であるとされています。 高血圧 高血圧とは血圧には収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の2つがあります。収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上を高血圧としています。血圧が高くなると、脳卒中・心疾患・腎疾患などの心血管病の死亡率が高くなるため、予防医学の観点から血圧のコントロールが重要です。 虚証ではカルシウム拮抗薬を使用し、中間証ではカルシウム拮抗薬やアンギオテンシン受容体拮抗薬を使用し、実証ではカルシウム拮抗薬やβ遮断薬を使用すると効果的であるとされています。 胃・十二指腸潰瘍 胃・十二指腸潰瘍とは胃または十二指腸の粘膜下層よりも深い部分まで欠損を生じたために、悪心・嘔吐・胸やけ・上腹部痛を呈するもので、胃と十二指腸に併存することもあります。 虚証から中間証ではH2受容体拮抗薬を使用し、実証ではプロトンポンプ阻害薬を使用すると効果的であるとされています。


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